あえて「求めない人物像」を伝えることで、
理想の人材に出会える
Column

企業の採用サイトでは、多くの場合「求める人物像」が掲載されています。これは、自社がどのような人材を必要としているのかを明確に示すことで、求職者が応募する前に自分に合っている職場かどうかを判断しやすくするためです。
しかし、本当に求める人物像を掲載するだけで十分と言えるでしょうか。採用のミスマッチを避け、長く活躍できる人材に出会うためには、あえて向いていない人材像を明示することも有効です。ここでは、採用ページに「求めない人物像」を載せるメリットを解説します。
採用サイトに「求める人物像」を掲載する大切さ
前述の通り、採用サイトにおいては通常「求める人物像」を掲載することが多いです。例えば、「コミュニケーション能力が高い人」「成長意欲のある人」「顧客や仲間に寄り添える人」といったポジティブな言葉で、理想的な候補者像を伝えます。これにより、求職者は自身のスキルや価値観と照らし合わせ、応募の判断基準を得ることができます。
しかし、良い面ばかりを並べても、本音の部分が伝わりきらないのが現実です。例えば「チームワークを大切にする」と謳っている企業に、他部署や他の職種との連携は苦手だが「成長意欲がある方」という条件には自身が当てはまると思って応募してきた場合、入社後に「思っていた働き方と違う」と感じ、早期離職につながるリスクは高まります。
「求めない人物像」を明示する2つのメリット
1企業文化に共感する人材が集まりやすい
自社に向かない人の特徴を伝えることで、企業にマッチしない求職者を効率的にふるい分けることができます。結果として、企業の価値観や働き方に心から共感してくれる人の応募が増え、採用の質を高めることができます。
2入社後のミスマッチによる離職を減らせる
入社後すぐに退職されると、採用にかかったコストが無駄になるだけでなく、既存社員の業務負担も増えます。定着率を上げるためには、入社後の「こんなはずじゃなかった」というギャップを最小限に抑えることが不可欠です。
企業に向いていない人物像を明記する具体例
- 私たちはチームでの成果を第一に考えているため、個人での業務に専念したい方には、もしかすると働きづらい環境かもしれません。
- 当社の事業は常に変化しているため、新しい知識やスキルを学ぶことに抵抗がある方には、少しプレッシャーを感じるかもしれません。
⇒チームワークを重視し、変化への対応力を求める場合、このような文章が応募者にとっても入社後のイメージを掴みやすく、応募の判断基準に繋がります。
企業に適した人材を見極めるために
「こういう人は避けてほしい」と書くと、「なんだか厳しそう」「敷居が高い会社だな」と思われるかもしれません。しかし、これは決してネガティブなことではありません。むしろ、自社のビジョンや働き方に本当に共感してくれる人だけが応募してくれるようになり、結果的に事前のミスマッチを防ぎ、採用の成功率を上げる一助となります。
まとめ
採用サイトで「求める人物像」を掲げるのは大切ですが、それだけでは十分な効果が得られない場合があります。あえて「求めない人物像」も伝えることで、自社の文化にフィットしない候補者を事前に遠ざけ、入社後活躍し、定着しやすい人材だけを引き寄せることができます。一見、応募のハードルが上がるようですが最終的には採用の質を高めることとなり、長期的に活躍できる人材を得るための有効な手段となります。この機会に採用ページのメッセージを見直し、企業の価値観をより深く伝える工夫をしてみてはいかがでしょうか。